大熊町の先人たち(新妻さん編)


大熊町のなんちゃんです。

 私は大熊町の『何』が好きなのかを考えてみたところ、日常生活でお世話になっている町の先人たちが思い浮かんだ。震災前から町を支えてきた先人たちへのリスペクトと共に、大好きな大熊町のおじいちゃんやおばあちゃんをたくさんの人に知ってもらいたい!という気持ちもあり、この記事を書くことにした。



最初にご紹介したい町の先人は、農業の名人である新妻茂(にいつま しげる)さんだ。新妻さんは農業が大好きなおじいちゃんで、元々のご自宅の農地で農業を再開している。町に帰ってきたのも自分の土地で農業を再開したい!という思いがあったからだ。いち早く農業を再開しようと土づくりに尽力し、一人で素晴らしい畑を管理している。このエピソードを聞くだけでも新妻さんの『大熊町に戻って農業をやりたい』という気持ちの強さがうかがえる。「やっぱり、小さいころから自分の土地で遊んだり農業したりしてきたからな、ここが落ち着く」と、新妻さんは何かの時に仰っていた。農業再開までの背景も知っていることもあり、新妻さんの作る野菜の美味しさは桁違いだ。特に美味しかったのは夏のトマト。熟しすぎて皮にひびが1、2本入ったトマトを真夏の作業中に頬張るのが最高だ。



私も新妻さんの畑の一角をお借りして農業初心者ながらも農業を営んでいる。はじめは一人でやっていたが、友人らも巻き込もう!と、多くの人に新妻さんの畑に関わってもらえるような形で『元気モリモリ!食欲モリモリ!新妻畑クラブ!』というグループラインを作ってみた。新妻さんもいろんな人が畑に来るのを喜んでくれた。人手が必要な時などに、「明日、作業しませんかー?」と、呼び掛けてみんなで作業をしたり、収穫をしたりしている。新妻さんにとっては、『農業をすること』は呼吸をするかのごとく生活の一部のことなのだと思う。しかし、私や友人らからすると、新鮮な経験をさせてもらってばかりだ。春にはジャガイモを縦に半分に切って、灰を表面につけてから植える。秋の朝には甘柿を採って皮ごと丸かじり。畑で過ごす時間は、心と体がリフレッシュできる大切な時間だ。



おそらくだが、新妻さんとは震災がなかったら、出会えていなかったと思う。今、新妻さんの畑に関わる人たちもきっとそう。大熊町での暮らしがとても楽しすぎて、ふと震災がなかったら今の暮らしはないのだと気づいた。震災直後は、震災が起きなかったら…という「たられば」を考えることがあった。災害は起きないに越したことはないが、最近は震災があったからこその人との出会いに喜ぶことが多くなった。自分にとって「震災」はせつない記憶が強かったが、大熊町の暮らしが楽しくなることで、前向きに捉えることができるようになってよかった。新妻さんは、自分(新妻さん)がいなくても、若い人たちに農業ができるようになってもらえたら嬉しいようだ。まだまだ私は農業初心者で、新妻さんから教えてもらうことがたくさんあるな…と改めて感じたので、畑に今後も足をたくさん運びたい。この記事を読んで新妻さんや畑、農業に興味を持たれた方!案内しますので!ぜひご連絡を!ください!ね!



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