ホタルのヒカリ

撮影:小泉良空さん


最近ちょっと調べ事に追われていて、まちの様子を見に行けてなかった宣伝チームの常世田(トコヨダ)です。

 でもそんな調べ事をしている中で、少し気になる一節を見つけたのでみなさんにもシェアさせていただこうと思います。


 『 筑紫の極み(つくしのきはみ)

    陸の奥(みちのおく)

     海山遠く(うみやまとほく)

      隔つとも(へだつとも)

       その真心は(そのまごゝろは)

        隔て無く(へだてなく)

         一つに盡くせ(ひとつにつくせ)

          国の為(くにのため) 』


 これは明治15年に文部省によって改変された、ある有名な曲の三番の歌詞です。最後の国を「町」に直せば、大熊町の今後のまちづくりの方向性に重なるように思えました。

「近隣住民が散り散りに避難する状況にあっても、町民一丸となって復興に取り組もう」というふうに読めるからです。この曲、一番だったら誰もがきっと歌えるでしょう。


 『 螢の光 窓の雪

    書読む(ふみよむ)月日 重ねつ

     何時しか年も すぎの戸を

      開けてぞ今朝は 別れ行く 』


 そう!ご存知『蛍の光』です。今回なぜこの曲を持ち出したかというと、避難指示解除後の町内でホタルの生息が確認されているからです。環境が良くなければホタルも、またそのエサになるカワニナなどの巻貝も生息できません。ホタルが戻ってきているということは、周辺環境も震災前のそれに戻りつつあるということです。


撮影:小泉良空さん


 大熊町では現在、特定帰還居住区域の除染作業が進められています。併せて道路や上下水道などのインフラ整備も行われ、希望者全員が帰町できるように生活環境を整えています。また、これまでに実施された町民意向調査によれば、仮に戻らないと決めていても「ふるさと大熊とのつながりを保ちたい」とする人が大半を占めていました。

 ホタルが発する儚く淡い光は、自然が織りなすイルミネーションです。町内の生活環境が整い避難されていた町民の方々が帰還し、移住者も一丸となって町の復興に取り組めば、きっとみんなが光を放つような暮らしを取り戻すことになると思います。



 そしてこの記事を書いた日、大川原地区でホタルを見つけました。季節はちょうど七十二候の腐草為蛍(ふそう・ほたるとなる)という時候にあたります。


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