おおくま学パート3 Can you hear me ?
こんにちは。おおくま宣伝チームの佐藤元泰です。
今回は福島大学さんが復興知事業の1つとして取り組んでいる「むらの大学」3回目の取材報告です。
1年を通して、東日本大震災以前の福島と東日本大震災後の福島の復興を学ぶカリキュラムなので、数回に分けて取材をさせて頂いております。
前回と前々回は大熊町に来町し、現地の様子を学ばれた学生さんを追いかけさせてもらいましたが、今回はおおくま宣伝チームの私、佐藤が福島大学さんに取材に伺わせていただきました。
唐突に、先生に質問をしてみました。
すか?」
しばらく考えてくださり、
先生「当時のことを振り返った時に、思わず出てくる生の声が聴ける。資料として残ってい ることだけでは知る事の出来ない、震災を経験された方から漏れる本音の言葉や町の 様子が見られることを期待しています。それが学生にとってすごく価値のある体験なんです。今回は取材というよりも、大学の授業を受けに来たと言っても、間違いではないですね。それでは読んでくださっている皆さんも福島大学でしか学ぶことのできない、「むらの大学」の授業を一緒に体験受講していきましょう!」
10月25日に「むらの大学」大熊班の授業に参加してきました!!
この日は大熊町民の方へインタビューをする内容を掘り下げて、限られた時間でお話を伺うため、インタビューの内容を話し合うという時間でした。
優先順位をつけ、インタビューの順番が大事で、記憶を呼び起こしてもらい、段階を経ることで貴重な生の言葉を聞けるかもしれない、と熱い討論がされていました。
「友達に誘われたのがきっかけです。」
「むらの大学の講義内容に興味がありました」
「実習をとおして他学類の人と仲良くなれることを期待して受講しました。」
「きれいに隠されている情報の中の、本当のことを知りたい」
「先輩が面白いよと勧めてくれた。」
「前期で東日本大震災当時の福島のことを知って、自分が知らないことが多かったので、むらの大学の後期は人に着目していてインタビューするのが面白いと思いました」
「通年でとると面白いカリキュラムだから」
「過疎地域対策、災害からの人口流出などに興味があり、それをどう解決していこうとしているのかが学べるから。」
「一人一人に注目して地域活性やまちづくり、新しい産業に取り組んでいるのが面白い。」
「近隣の県出身で震災後の福島の現状を知りたい。そして地元に戻って福島で学んだことを活かしたい。」
「このカリキュラムをとるために福島大学を受験しました。自分の出身地に帰り福島で学んだことを活かしたいです。」
この学生さんへのインタビューの答えを聞くと、震災当時は喪失感や自粛運動など、明るい気持ちになれない出来事の様に感じておりましたが、福島大学さんで東日本大震災を学んだ学生さんは凄く前向きな明るい未来のために、その事実や経験談を消化しようとしてくれていることに福島県民の私は復興へのエネルギーを分けてもらえました。
そして11月8日にはふたばプロジェクトでお仕事をされている大熊町出身の小泉 良空(ミク)さんによる50人を超える学生さん向けの講演を拝聴しました。
NHK福島放送局さんは「語り部クロス」という番組を制作し、震災と原発から14年経とうとし、風化していく記憶をどう伝えるか。全国の戦争や公害を伝える語り部さんと交流し、津波の被害や原発事故を伝える東北の語り部さんが未来へ記憶を残していく、震災伝承について放送しています。
「当時の大熊町は福島第一原子力発電所のある、のどかな普通の田舎でした。3月11日は中学校の卒業式に、在校生として出席し卒業生を送り出した後、昼過ぎに帰宅して、のんびり過ごしていて…そしてその時が来て。」
と、当時中学生だった小泉さんの胸の内を明かして下さり、原発が危ないということに、なかなか意識が向かなかったそうです。むしろどんぐり拾いをしたり楽しい思い出の場所だったと。そしてその後の避難生活を送る中で、彼女の感情が動いた瞬間をターニングポイントであるとし、今に至るまでのお話をされました。
中学生の小泉さんが無邪気に自宅に帰れたことを喜んでいたと語っておられ、写真の中の当時中学生だった小泉さんが、防護服を着て線量計を身に付け、マスクをし下足にカバーをしていても我が家に帰って来られたことに、笑顔をカメラに向けてくれている様子に、個人的に胸が張り裂けそうになりました。
小泉さんは大学卒業後、一度は福島市の企業へ就職しましたが、故郷に帰りたいと思うようになり、大熊町に帰還され2021年双葉町でお仕事をされることに。
若者が大熊町(双葉郡)に帰るだけで、もてはやされ、
「復興に関わるお仕事をしなきゃならない?」
「地域の役に立たないといけない?」と自問自答されていいたそうです。
若者が大熊町(双葉郡)に帰るだけで、もてはやされ、
「復興に関わるお仕事をしなきゃならない?」
「地域の役に立たないといけない?」と自問自答されていいたそうです。
でも、小泉さんの本音は
「普通に生活するために大熊町に帰ってきたかった。」
と語りました。小泉さんの講演が終わった後、学生さん同士で、「若者が伝承する意義」「若者が伝承する際の難しさ」というテーマで大学生が伝承することについてディスカッションが行われました。
ディスカッション後、学生さんから感想と質問が小泉さんへ向けられ、質問への返答で、
「話すことで私自身が思い返すことがある。この時私はこう思っていたんだったと。自分自身の新しい発見につながる。自分にしか話せないことを伝えたい。当時の中学生がどう思ったか。」
思わずハッとさせられる。小泉さんの心からの言葉が聞こえてきました。
「元通りにならないから、伝えたい。」
「むらの大学の講義で大学生の皆さんが、自分の故郷のことを知ってくれるのがうれしい。」
小泉さんは学生へ最後にそう綴りました。
大学生の皆さんも、生まれて初めて故郷を離れて、福島に来て学んでくれている方が多いでしょう。遠くの故郷へ馳せる想いは、小泉さんに共感できたのではないでしょうか?
福島大学さんだから学べる、「むらの大学」の講義の中で、私もおおくま学を大学生に戻った気持ちになり一緒に学ばせてもらいました。
ご協力いただいた皆さん本当にありがとうございました。
次回予告
学生さんたちが作成している町民の方へのインタビュー集は、1月下旬に大熊町内の施設でお披露目会を計画しているそうです!私も取材させて頂く予定です。
詳細が決まり次第ホームページでお知らせされるようですので、ぜひ、この記事を最後まで読んでくださった、優しい読者の皆さんも参加して、おおくま学に触れてみませんか?
福島大学「地域×データ」HP https://region-data.net.fukushima-u.ac.jp/
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